2013年01月27日
「浜辺の歌」鈴木重子公式facebookページより

宮城に行って、いまの被災地に触れ、
たくさんの方々にお会いして、
うたを聴いていただいたことに
こころから、感謝しています。
一見、普段どおりの賑わいを取り戻したように見える
街なみも、少しよく眺めてみると、
地震や津波の、信じ難い大きさの爪あとを
たくさん、残していました。
倒れた建物がなくなって、あちこちにぽかんとできた、空き地。
広い、広い原っぱの真ん中に集められた、がれき。
ぐにゃりと曲がったシャッター、ビルの3階についた、水位のあと。
消えた砂浜。
仮設住宅の方々は、おひとり、おひとりが
住み慣れた家や、共に生きてきたコミュニティや
大切な家族、友人を失った、大きすぎる悲しみを抱えながら
一方で懸命に、新しい人生を切り拓こうと
願っておられるようでした。
住宅にぽつんといると、気分が滅入って、さみしい。
だから、こうやってみんなで集まれるのが、とてもうれしい、
と、にこにこしておっしゃるみなさんの、力強さと明るさに、
私のほうが勇気づけられ、元気になる心地がしました。
もっともっと、一緒に歌って、お話をうかがっていたかった。
いちばん最後の歌の会の、最後の歌を歌い終わって
ステージを降りようとしたら、おひとりの女性が
「『浜辺の歌』を歌ってください。」とおっしゃられ
私は、はっとしました。
津波の被害に遭った方々に、海を連想させる曲を聴いていただくことは
できないと思っていたからです。
「きっと、気遣いで遠慮してくださったのだろうけど
ぜひ、お願いします。
大谷の海岸は、本当に美しいところでした。
なくなってしまったその風景を、思い出しながら聴きたいんです。」
ウォンさんの伴奏と一緒に歌い出した私の目には、なぜか
一度も見たことのない、美しい海岸が見えました。
長く続く松林と、やさしい白い波。
流れ出しそうな涙は、声に変えました。
最後まできちんと、聴いていただきたかったから。
みなさんの想いが、私たちの音を紡いでいるようでした。
本当にたくさんの方に「きっとまた来てくださいね!」
と言っていただきました。
きっとまた、行こうと思います。
震災直後から、何度も足を運んで、被災した方々のサポートをしておられる篠原さん、
自らも被災しながら、地元の方々のために尽くしていらっしゃる
太田さん、熊谷さん
そして、骨折した腕の痛みをものともせず、一緒に演奏してくださったウォンさんと
あたたかな心配りをしてくださった美枝子さんに
こころからの感謝を捧げます。
写真は、南方の空。
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鈴木重子 公式facebookページより転載。
http://www.facebook.com/ShigekoSuzukiOfficial
Posted by 管理びと at 23:36│Comments(0)
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